白壁の街 ギリシャ サントリーニ島の巻(その4:カメニ島・ティラシア島編 完結)

ギリシャ

三日月型のサントリーニ島に、まるで抱え込まれているような小島は、ネア・カメニ島。そしてそのカメニ島から北西にティラシア島があります。ネア・カメニ島では硫黄の匂いがするくらいで、過去に噴火したことをその匂いで実感することができます。これまでの噴火で地形の凹凸が生まれ、その隆起した部分がネア・カメニ島、ティラシア島、サントリーニ島、ということになるのでしょう。ネア・カメニ島やティラシア島からサントリーニ島を見る風景もこれはまた美しく、息を呑むほどです。サントリーニ島のTiraやOIAからみる海は、水深が深いので濃い青色のみですが、ここから望む海には浅い水深の海が所々にあるために、淡い乳白色のような青さの海が混じってくるためです。

ネア・カメニ島は無人島ですが、その北西に浮かぶ島ティラシア島には、くねくねと何重にも折り重なった坂道の上にレストランと小さな集落があります。街から街に渡るにも、レストランに行くにも、隣の島に来ても、坂道を上下してばかりいます。隆起した土地の上で住める場所は限られているのでしょう。

カメニ島から見えるサントリーニ島

このティラシア島の坂道の上にあるパノラマカフェという名前のレストランは、崖の上ポツンっと一戸だけ建っているもので、サントリーニ島のレストランとはまた違ってまた趣があります。レストランの中を気持ち良い風が流れていきます。映画「グラン・ブル」の中のエンゾが美味そうにパスタを食べているはこんな絶景の中でありながら、どこか素朴なレストランだった気がして大変満足しました。

遠目には様々な青の海を、足元では猫に囲まれて。パノラマカフェという名前だけあって絶景のロケーションのレストランです。料理はイタリアンとギリシャ料理の両方のメニューが揃っています。私も、パティシエの妻もその味とサービスに大変満足しました。
パノラマカフェに行くには坂道を15分ほど登る必要があります。

サントリーニ島での休暇も終わりに近づいてきました。この島のサンセットを見られるのもわずかです。バーで、米国からやってきた夫妻と会いましたが、クルーズ船から降りてきたようです。クルーズ船でエーゲ海の島を周遊するとこの島での滞在時間は1日ほどのようです。ちょっと短すぎてもったいない感じがします。

確かにホテルから次々とやってくる豪華客船を見ていましたが、ひっきりなしに入れ替わっていきます。この米国からきた夫妻とそこまで深い話をしたわけではありませんが、その雰囲気から自分の会社を立ち上げて成功して、50代はすでに余生になっていて、世界を回ってるのではないかと感じられました。この夫妻からは余裕が感じられたので、そのような感じがしました。

背伸びして買った腕時計はいつかは壊れ、そして自分を高めてくれるよう気がして奮発して買った革靴もいつかは擦り切れてなくなっていきますが、この記憶だけは残り、誰にも奪われず、誰にも否定されず、最も本人に適した形で保管され続けます。
太陽が海に落ちて行く。