水の都 ベネチア

Travel Abroad

22年5月。アイスランドから数ヶ月経って、気づけばベネチアにいました。少し前にローマ、フィレンツェ、ピサの順にイタリアを北上する小旅行をして、思った以上に何も心に残らず、旅が終わったので、「これはどうもなあ」という感じでふらふらとベネチアの空港に降りたったのでした。映画「グランブルー」の太陽のギラギラ輝くシチリアのイメージで入ると意外にじめっとした暗いイタリアに会います。

世界には色々なところがあって、それぞれ特徴があるので、それを見に行くだけで、旅をするのは十分に面白いと思います。

そう思うんですけど、ただやはり知らぬうちに期待してて、それは何かというと「なんか思っていたところと全然違うもんだな」というのが欲しくなる。そういった肌触りがないと、なんというか、コロナの頃によく使っていたアルコール消毒液みたいにあっけなく気化していって、飛んでいってしまう感じがする。

その点、自然を見に行くと、ずっと心に残ります。特に運が必要とされるものを見に行く時は。天候に恵まれないと辿りつかない、晴れていないとその絶景が引き出せない、その植物が時期的に咲いているか分からない、その生物と遭遇できるか分からない、そういうものに対して運よく巡り会えると、一種の達成感があります。観光や旅は、ある一面では穏やかなギャンブルです。

さて、ベネチア。水の都というのは、文字通り。この後も色々な欧州の都市をまわりましたけど、ここまで右も左も水路に囲まれてというのはここだけです。街の中を全く車が走っておらず、というか通りようもないんだと知りました。街の中の移動は迷路のような細い道が延々と根のように広かっていますし、街も小さな島が集まってできていて、1つ1つの島は船に乗るかしかないのです。車がないので、人も物資も船で移動してます。救急車(救急船?)も船です。

島と島、区域と区域は船で繋がっていますが、その島にも特徴があります。ガラス工芸の多い区域、革製品の区域、食料品の多く並ぶ区域。機能が分かれているという点では、まるで人間の臓器のようでもあります。

B &Bの親父に手取り足取り街の構成を教えてもらいます。

この頃になって私も海外の宿に慣れきたような気がしたのは、というよりB&Bに慣れてきたような気がしたのは、B&Bの朝食が気に入ってきたことで、最初はB&Bの食事は友達の家族が出してくれているような感じがしてどこか落ち着かなかったのですが、これが普通になってきました。ホテルの朝食はだいたいブッフェでどこも同じようなメニューで固定なので、その点ではB &Bはホストがいかにも近くのスーパーで買ってきたような感じのものも出してくれるので、これがむしろ面白かったりします。

ベネチアはB&Bばかりなのではないかと思います。ホテルもいくつかはあるのでしょうけど、シュラトンとか、マリオットとか、ああいった巨大なホテルが街の中にデカデカとあったような記憶はありません。

この街が人気の観光地になるのはよく分かります。街全体がアトラクションのようなもので、迷路のような街をぐるぐる回っているだけで飽きませんし、所々で見つかるレストランの料理は基本的にどこも驚くほど美味しいです。

街の中に面白い場所があって、おそらく誰にも騒がれていないのですけど、どこかでみたことのある景色に出会いました。この景色どこかのアニメの中で見たことありませんか?紅の豚で出てくるマルコの飛行機を修理工場ってこんな感じだったような気がしますけど、どうでしょう。