ガウディーの世界、バルセロナへ の巻

スペイン

バルセロナには、ガウディーの建築を見に来ました。

21年11月、ギリシャのサントリーニ島に行っていた翌月、スペインのバルセロナにいました。サントリーニ島では、何よりあの青い海と空に魅了されました。今度は自然から離れて、ガウディーの建築を見に行くことにしました。スペインは夏の暖かさが残るうちに行きたいと思っていたのですが、11月は日中は暖かく、夜は少し肌寒い季節に入りかけていました。

多くの人はこのガウディーの建築を見にバルセロナにやってきます。私が、確か高校生くらいの時だったと思いますが、TVプログラムの「世界遺産」で、カサ・ミラの特集をやっていて、こんなところに住めたらなんて素敵だろうと思って、ずっと気になっていました。そして、なぜか、ルパン三世の映画「お宝返却大作戦」の中で使われていたのを思い出します。ルパン三世の映画で描かれるヨーロッパは、日差しに恵まれた、私の憧れていたヨーロッパそのものでした。私はギリシャに次いで、また明るいヨーロッパを見に行きたいと強く思っていました。

ガウディーの建築はこのバルセロナに多くありますが、今回、私たちが訪れたのは4つ(1,2,4,5)。また、ガウディーの建築ではありませんがガウディーにも引けを取らない美しいカタルーニャ音楽堂(3)と山の上に切り立ったところにある神話に出てきそうなモンセラット修道院(6)にも足を運ぶことにしました。

1. カサ・ミラ
2.カサ・バトリョ
3.カタルーニャ音楽堂
4.サクラダファミリア
5. グエル公園
6. モンセラット修道院

私は本能の赴くままに手当たり次第、順番なんて考えずに見に行きましたが、効率の良い順番は上記の通りです。グエル公園だけは歩いていくと遠いです。その他は全て歩いて周ることができます。

ガウディーは、「自然の中に最高の造形美がある」と周囲に言っていたようです。私には、あのサクラダファミリアの外観は、荘厳で、観念的に見えたので、むしろ自然からはずいぶんと離れて、人の中から思想が溢れて具現化したように見えますが、一体上の言葉とあの建築にどういうひもづけができるのでしょう。

そして、忘れてはなりません、バルセロナでまた1つ楽しみなのは、言わずと知れたバルと生ハムでした。実は翌年にバスク地方のサンセバスチャンに行って、さらに美味しい生ハムとバルのお店があることを知るのですが、この時はバルセロナのバルで頼む一品一品がテーブルに運ばれてくるごとに、小拍手をしていました。そして実際、バルセロナは美食の街に間違いありません。

バルセロナの街を歩くと気づくのは、ロンドンに比べて街に温かみを感じることです。気候の差があるからそう感じるのだろう?はい、そうです。でもそれだけではなくて、ロンドンの建物は四角が多い一方で、バルセロナの建物は曲線が多い気がします。また外壁もロンドンのように灰色一辺倒ではなくて、暖色が使われているというのもあります。

今回泊まったホテルはバルセロナのメイン通りであるランブラス通りの中にあるCASA VOLVERというホテルで、確か1泊100ユーロ前後。立地も良くて部屋も綺麗でリーズナブルな値段だったので、私は非常に満足しました。

ロンドンからバルセロナにフライトで着いて、休みもそこそこにサクラダファミリア に向かっています。と言いつつサクラダファミリアの近くのレストランで生ハムにさっそく捕まりました。お店の名前も覚えてないですが、トマトペーストとガーリックを表面に塗って焼いたトーストと生ハムがこんなに美味しいのかと感動しました。

小腹も満たし、サクラダファミリアに近づいていきます。この建物の色は、天候や角度や距離で変わるようです。白っぽく見えたり、黄土色が強く見えたり変化します。
ガウディーが当時、周囲から言われていた「天才か狂人か」の言葉が蘇る外観です。そして私には狂人というか、何かに取り憑かれたように何かを作るとこんな感じになるのかという、その狂人の方に強く引き寄せられます。オーディオ解説を聞くと1つ1つの作りに意味があるようですが、これを書いている23年12月には綺麗に頭から消えてしまっているようです。

しかし中に入るとイメージが一変します。「自然の中に最高の造形美がある」と言いたかったのが内部を見るとようやく理解できます。私は日本人だからか竜宮城が想起されて海底のイメージを持ちました。何か有機物を感じる造りになっています。

クラゲか何かが建物内を泳いでいそうな世界観。そして視線を上に持っていくような仕掛けが組まれているように感じます。気づけばずっと上を見てました。ガウディーは特に人生の後半は何かに取り憑かれ、追い込まれたように創作して、最後は随分と可哀想な亡くなり方をしたので、どこか暗い感じがしていましたが、こういう陽の部分が根幹にはあったのだと思うとまた見方が変わってくるように思います。

さて、翌日。カサ・バトリョとカサ・ミラを見に行きます。カサ・ミラの中には入りませんでしたが、カサ・バトリョはサクラダファミリアの内部の世界が、内部にも外部にも出ている建築物です。ここでも自然・生命・呼吸のような有機的な何かが、私の感覚では曲線が多用されることで再現されているように思います。

カサ・バトリョ

カサ・ミラ。私にはカサ・ミラとルパン三世がセットになっています。子供の頃に見る映画やアニメの影響はなんて大きいのだろうと自分でつくづく思います。結構な量の本も読んできた人生でしたが、海外で歩きたい街は、本の世界ではなく、どこかのアニメータが書いた世界でした。アニメのルパン三世で描かれるヨーロッパは基本的には陽が当たって明るい世界で、私はそのルパンの中の世界観が好きだったのです。このカサ・ミサも「お宝返却大作戦」の中で、明るい陽のあたる世界の1コマとして描かれていました。ルパンはこのカサ・ミラに何のお宝を返しにきたのだったか? すっかり忘れてしまいました。

カサ・ミラ

最後に観にいったガウディーの建築はグエル公園です。結構広い公園です。街の中心部からバスに乗ってたどり着きます。高台にあるので、バルセロナの街が広く見渡せるようになっています。この公園から街を見下ろすと、サクラダファミリアが街の中で、いかに際立つ存在かを知ることができます。

グエル公園も「自然の中に最高の造形美がある」と言いたかったのを体感できるような公園になっています。公園の中には緑が多く繁っていますが、建築と見事同化しているので、ずっと自然の中を歩いているような感じのする面白い公園です。爬虫類の背中を尻尾から頭の方に向かって歩いているような感覚になります。この公園は陽の当たる晴れの日に歩くのが良いので、降水量の少ない夏の季節がオススメされます。

グエル公園

バルセロナの良いところは、ここは夜にはバルが楽しめるところです。サンセバスチャンは確かにバルセロナを超えるバル店が数多くありますが、ここには見るものと食べるものの2つが揃っているのです。今回はバルの中でも人気の高いCATALANAに行きました。オーダーも席で注文でき手軽で、海鮮も肉料理も全ての品に満足できました。24年には母親が来て、バルセロナに来たがっているので、このレストランを再訪しようと思っています。